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Music is My Life
Music is My Life (JUGEMレビュー »)
福原美穂,sleepy.ab,ローラ・イジボア
外国の声量のある歌手と間違えるほどめちゃくちゃ歌がうまい!ノレる曲ありゃ切なくさせる曲ありで充実した1枚です。自分で曲を書いてるみたいですが、邦楽ならではのダサいテンポではなく、R&Bっぽい感じ。
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サヨナライツカ
JUGEMテーマ:読書

これは、サヨナラしようと思っても「いつか」と引き伸ばしてしまうほど
切れない情、の話なんだなと、まあ簡単に言えばそんな感じです。

人当たりがよくみんなに好かれる男で、しかも女性にも不自由しない
豊が、遊びの女と結婚の女は別と考えて、結婚にふさわしい、そして
知恵をもった女性”光子”に心から惹かれ、自分でも納得し満足して
結婚を迎えようとしている矢先に、謎の美女”沓子”に誘惑されるわけ
です。
「据え膳なんちゃらは男の恥」。訳の分からないまま、誘惑されるが
ままに沓子を抱く豊。
女の扱いになれている彼は「結婚寸前まで彼女とのエッチを楽しんで、
後はうまく別れればいいさ」などと勝手のいいことを考えていくように
なるんですが、知らぬ間に深みにはまっていき、本気とは何なのかと
か色々考えていくうちに、別れられなくなっていくんですよ。
体の相性や、情熱的な女ってのは切ろうにも切れなくさせてしまうんです
よね・・・ましてや、純朴で貞淑な光子とは正反対な女性に落ちて
いくわけです。同じタイプなら天秤にかけやすく切りやすかったかも
しれませんが、正反対なゆえ豊は迷うわけです。

でも、大金持ちの沓子の金銭感覚や、奔放さに自分は「もてあますように
なるだろう」と豊はふんだわけです。
しかも、光子を逃せば政略結婚ではないけども職場関係の知り合いに
紹介された光子を捨てれば、仕事も失いかねないわけですから、
約束された未来、を豊は選ぶんですね。

もっと若い頃の自分なら、そんな豊の行動を”身勝手な男の話じゃないか”
とか”それは彼のエゴだ”としか受け止めることができなかったのですが、
年も重ねそれなりに人生経験も重ねると、”ただの身勝手”とは少し
思えず多少共感してしまう部分もあり、豊を責める気持ちはほとんど
生まれませんでした。

でも一つだけ思うのは、もし豊が光子を捨てていたとしたら・・・
きっと彼は光子を思い続けるに違いないと思うのです。
彼は光子のことも愛しているので、結局は光子と別れたら別れたで
光子のことも忘れられないのだろうと。
要するに”ないものねだり”な生き物なのだ、と思います。人間はね。

豊と沓子は別れることにしたわけですが、その後どういう結末を本書は
迎えるのか。

もし忘れられない相手がいるような人であれば、このお話を読むといい
かなと思います。そういう経験はないなあって人には、あまり感情移入
できないかもしれません。

しかし・・・
辻仁成の文章は、作家とは思えないほど、非常に幼いのが気になりました(汗)

 
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冷静と情熱の間
JUGEMテーマ:読書

辻仁成と江國香織のコラボ作品「冷静と情熱の間」はお気に入りの
小説でした。

たまたま従姉弟の家にこの本があり、辻が書いた、主人公「じゅんせい」
の視点の本と、江國が書いた主人公「あおい」の視点の本が2冊あり、
「これは、じゅんせいとあおいの物語なんだけど、これを1冊ずつ読み
切ってから次のを読むのではなく、辻のほうを1章読んだら、次は江國の
方の1章を、江國の1章を読み終えたら次は辻の2章目という風に交互に
読んでいくと話の展開が分かりやすくて感情移入もしやすく、楽しめる」
と勧められてそのように読んでいきました。

まだ若かりし頃、じゅんせい君はあおいと恋愛関係に陥るんです。
2人は深く深く愛し合っていたんですが、若さゆえのおろかさ、周りの
逆流に飲み込まれ、好きなまま別れてしまうんです。
何年も経ち、お互いに恋人は出来るのですが、どこかお互いに”じゅんせい”
と”あおい”をそれぞれ忘れることが出来ず、どこか現在の恋人にのめり
こめない自分が居ます。

そんなときに、時々相手に電話を入れてみるのですが、それもすれ違い
ばかり。。。
やっぱりもう叶わない恋なんだと、どこか虚しさが漂い始めるのですが、
10年前にまだ付き合っていた頃に交わした約束「とある場所で再会しよう」
というのを”じゅんせい”は覚えていて、あおいがまだその言葉を覚えている
か、そこに彼女は約束の日の約束の時間に現れるのかに賭けてみること
にしたんですね。

忘れられない相手と好きなまま別れた二人の10年越しの愛の結末は
果たしてどうなるのか。
似たような話にスペイン映画「アナとオットー」がありますが、それとは
また違った結末で楽しめると思います。

友人は、辻バージョンしか読んでいなかったそうで、「いやあー、そっち
だけだとどうよ!」って感じなので両方を交互に読むことを勧めておき
ました。

辻・江國と言えば「左岸」と「右岸」でまた再コラボだそうですね。
そっちも手を出してみようかな。

あ、映画ではじゅんせい役に竹野内豊、あおい役にケリー・チャン、
あとは竹野内の現在の彼女役に篠原涼子とあって、なんだかどれも
小説のイメージと違ったので、特に篠原はミスキャストのようだよねと
職場の人とは話していたのですが、じゃあ、実際小説に近いキャス
ティングをするならば誰?という話になりまして。
竹野内の役を「西島秀俊」、ケリー・チャンの役を「水野美紀」か
宮沢りえ、篠原涼子の役をもっと若い小柄な女優さんてことの結論に
たどり着いたのですが、でもその後「いやあ・・・・西島と水野の映画と
なると誰が見るか、だよね・・・」と(汗)。華がないというか。
(個人的には好きなんですけどね>水野)
で、やっぱり竹野内豊あたりなのかなあって結論でした。
じゅんせい役はね。

 
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白夜行
今世間では、「東野圭吾」「東野圭吾」と、彼の作品がまさに
”蔓延”していますね。
次から次へと精力的に執筆し、出版する東野圭吾。いつのまに
あんなペースになったのか(笑)、デビューの直後はそうでも
なかったんですけど、ここ数年がすごい勢いですね。

実は、自分にとって初めての東野作品は、10年以上前でしかも
彼のデビュー作「放課後」でした。リアルタイムで読んでましたね。
なかなか面白いなと当時は思いましたが、今はその内容すら覚え
てません(汗)

それでもまあ、面白かったという印象はあったので、彼が怒涛の
ように出版し始めた時、何かの作品を買ったんですよ。2冊ほど。
しかし、タイトルも思い出せないほど(1冊は「予知夢」でした)
面白くなくてですね。何回も「だまされた!」と思ったんで、
この白夜行も手にするのに、かなり迷いました。
また騙されるのが、すっごく嫌だったからです。

でも、今回は騙されずにすんだな〜という感じです。
宮部みゆき作品の「火車」に、何かこう設定というかもって
行き方が似ているなあと思う部分がたくさんありましたが、
火車のほうが、個人的には好きでしたね。

火車も白夜行も、最後の最後まで、犯人の口から真相が語られる
シーンはありません。
が。
白夜行は、犯人の真意を見せなさ過ぎ、でした。
全部、結局は推測の話で、登場人物の誰も、犯人の真意を
知らないで終わるのです。

犯人像の見せ方は、そういう意味では火車のほうが、うまい
ちらリズムで攻めたな、という感じですね。

で、この物足りなかった「犯人の真意」が、ドラマ「白夜行」
ではいっぱい見せてもらえます。個人的には、小説よりも
見せすぎている(というか、ストーリーも若干かえてある)
ドラマのほうが、かえってすっきりしました。
小説のほうは、消化不良で終わりましたね。
残念。

といっても、非常な力作であり、主人公たちの19年の軌跡
が、いい形で設定されて進み、なるほどなという展開でして、
良かったと思います。好きでしたよ、この作品。


ここからネタばれですが、












桐原亮司と友野?がパソコンショップを開いているあたりの
シーンで登場する、乱交に参加しなかった女で、その後一緒に
桐原たちとつるむ女は、最後、名古屋で殺されますよね。

あれ、もしかしたら暴力団ではなく、桐原が殺したのかも
知れないなってちょっと思いましたが・・・どうでしょう?
お金は間違いなく桐原が変装して下ろしてますよね。

しかし、雪穂は冷酷すぎる女でしたね〜。
怖い。彼女には、小説では同情が出来ませんでした。
火車の新城には同情できたけど、雪穂には出来ませんでしたね。
ドラマの雪穂には、非常に同情しましたが。。。

ドラマと小説、両方お勧めです。
自分は、どちらも保存版にしてます。


JUGEMテーマ:読書


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クロスファイア
JUGEMテーマ:読書


最近お気に入りの宮部みゆき作品に、また手を付けました。
今回は上下巻で成る「クロスファイア」です。
映画化もされているようで、伊藤英明や矢田亜希子、長澤まさみ
などが登場するようですが、本のほうだけ読みました。

パイロキネシスという念力放火能力を持つ青木淳子が、
殺人現場に居合わせてしまい、犯人達を”逃げた一人を除いて”
焼き殺すところから始まります。

パイロキネシスといえば、30代の私なら聞いたことがある言葉です。
幼児期に見ていたアニメ「バビル2世」がパイロキネシスを持って
いたんですよ(笑)
歌にも、1番では「火炎放射だ、電撃だ〜」って歌詞が有り、
2番でははっきりと「パイロキネシス、テレパシー」と言って
いるので、バビル2世のファンならば、きっと耳慣れた言葉
だったと思います。

さて、その青木淳子は、正義感から残りの犯人を追跡し始め
るのですが、途中からは主役が交代した感じで「石津ちか子」
刑事が彼女を追う視点、が中心となって進みます。

青木淳子視点での物語は、緊迫感があり引き込まれました
が、石津ちか子にバトンタッチした視点では、ちょっと物足り
ない感じでした。

青木淳子は最初、自分が残忍な犯人達を追う側です。でも、石津
によって「追われる側」になり、追う側と追われる側の両方の
視点で物りは構成されているのですが、
正義のために、殺された人の代わりに復讐をする青木淳子は、
自分の行為を正当化しながらも、結局は「追われる側」に
なっていることから、青木淳子の正義感から来る復讐は、正しい
ものなのかどうかが描かれているのでしょう。
実際、物語の中でも、青木淳子は悩むわけです。
法では罰しきれない悪人が、それなりの報いを受けることを皆も
自分も心のどこかで願っている、でも、それを果たすためにする
報復は、正当化できるものなのだろうかと。
しかも、下手をすれば関係の無い人も巻き添えにする。それは、
仕方が無いことなのだろうか、と。


たぶん、誰もの心の中にある「法を逃れて、残忍なことをしている悪人を
制裁してやりたい」気持ちを、青木淳子は叶えてくれているわけ
です。だから、前半部分は読んでいる私も緊迫感を感じ、ワクワク
したのかもしれません。

そこに登場するのは、多田という青年。最愛の妹を、残忍に殺され
た青年。彼は、青木淳子と犯人の追跡をしていたようですが、途中
で彼女にこういうのです。
「やっぱり、もし報復したら、彼らと同じ殺人者に成り下がり、
自分も彼らと同じになるのではないか」と。
青木は「自分の欲望だけで人をいたぶり殺すような人殺しとは
違う」と反発しますが、
実際にもし自分が報復殺人を行えるような力を持っていたら、
私もきっと青木淳子と多田一樹の間で、悩むのかもしれません。

しかし、現実に超能力を目の当たりにしたことが無いので、この
小説には、そういう意味では非現実さを痛感せざるを得ない部分が
あり、それがこの小説にイマイチ感情移入しにくかった原因かも
しれません。

青木淳子の物語は、別の本でも出ているようなので、何もこの
本だけが青木淳子を物語る最初で最後の本ではなかったわけですが、
あの最後はちょっと納得いかなかったな〜と。
ただ、もし宮部さんが、報復が何をもたらすかを描いていたのであれば、
あれは当然の結末だったのかもしれませんが。

しかし、読み終わった後に考えたのです。
超能力は、色々種類があるとして、自分がパイロキネシスを
持っていたらどうだろうかと。
人の心を読んだり、人を操る超能力ではなく、感情をコントロール
しなければ発してしまう炎をもつなら、どこへ使うのか?と。
単純に考えれば、炎は武器になるので、やっぱり報復に使うのかな
と思ったり。
人の心を読むことや、千里眼などは、犯罪捜査に協力しやすい超能力
だと思いますが、炎っていうのは、何に使うのか・・・
そう考えたときに、青木淳子の行動の経緯も、若干分かったような
気もします。

19:33comments(0)trackbacks(0)
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19歳―一家四人惨殺犯の告白
記事を書くって、結構勢いとか体力がいるのですが、
今あまり勢いがないので、文章は短めに紹介します。

年末に読んだ本。2時間もあれば読めてしまいます。

非常に不幸な幼少時代をすごしたとはいえ、こんなに
残忍な強盗殺人をする、人間の形をした悪魔が存在し、
死刑が確定しているのに、10年以上もまだ執行待ち
状態だなんて信じられないですね。

15歳の女の子をわざと車ではね、助ける振りしてホテルに
連れ込んで強姦し、次の日にまたその子の家へ行き、対応
した祖母に金を要求し、断られると家にあがって絞め殺し
家で待機。帰宅した母親と妹(4歳)。母親を包丁で刺し
ころし、妹は死んだ祖母の傍で寝かせる。
帰宅した15歳の少女の目の前で4歳の妹を刺し、弱り
きっている妹を「お前が最後、殺してあげりゃいい」と
要求。また帰宅した父親も刺殺。15歳の少女を強姦し
まくった挙句、不審に思った父親の経営する社員の通報で
かけつけた警官の前で「俺がこの女に殺されそうになってる!」
と自作自演をする始末。
どこに同情の余地がある?

著者によると、犯人の関光彦は、ちっとも反省をしてない
ようです。
著書には、彼の悲惨な生い立ちも延々と書いてあるが、彼が
行った犯行が残忍すぎて、同情の気持ちが全くわかない・・・

で、聞いた話では(事実かどうか知りませんが)、死刑が
確定しながらも、いつまでも執行されない死刑囚が何十人
といますが、心から自分の行いを悔やんで懺悔する気持ちに
なったときに、やっと死刑日が決まるのだとか。

その方がいいとはいえ、関光彦のような理由や言動で、
本当の贖罪が出来るのか、正直疑問視しています。
また広島の光での母子殺害事件の犯人もしかり。

彼らの持つ脳の関連のことも含め・・・。

彼らがあのような殺人者になったのには、環境因子もある
けれど、それだけじゃないだろうから、難しいと思います。

本自体の感想ですが、まあ、わざわざ買うほどではないかな。
ネットの情報で十分。という感じです。


20:41comments(0)trackbacks(0)
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火車(宮部みゆき)
評価:
宮部 みゆき
新潮社
¥ 900
(1998-01)
2008年初のUP記事は、宮部みゆきの「火車」(かしゃ)です。

最初、これを読むまでは、「かしゃ」と読むのではなく、「ひぐるま」
だと思っていました(苦笑)。自己破産をテーマにした作品だという
のは、ちょこっと知っていたので、「台所は火の車」という言葉を
連想して、そう思っていました。

宮部作品は、時代劇短編集を読んでからハマり、あれこれ揃えるよう
になりましたし、先日は、有名な超大作であるミステリーの模倣犯も
楽しませていただきました。

でも、個人的には、模倣犯より心にずっしりきた作品で、
余韻が残る作品が好きな自分としては、火車は満点、でした。

主人公である本間刑事が、妻の甥に「婚約者の彰子が失踪したので、
探して欲しい」と言われたところから始まります。
その場面に入るまで、丁度いい頃合で始まって、気持ちよく読み
始めることができました。
「妻が死んでも音沙汰の無かった、身勝手な男が、夜遅くなっても
雪が降り続けていても、1時間半もかけてやってこようとするのは
何ごとだろう?どうせ、面倒な依頼に決まっているに違いない」。
一気にひきつけられました。
人間、実際に面倒なことに遭うのは嫌ですが、他人の(ましてや
小説の)中にある面倒で疑惑のあること、には興味津々ですからね(汗)

よく営業の世界では「最初の5分の(客に対する)トークが勝負」
とは言いますが、そういう意味では、この作品も「掴みはOK」
でした。

で、本間刑事が、失踪に至るまでのいきさつを、その「甥」である
和也に尋ねて分かってくることは、和也の婚約者、「俺が選んだ
女」である美人で聡明で家の中をきちんと整えることの出来る婚約者
関根彰子が、実は過去に自己破産していた、ということが明らかに
なっていくのです。
和也としては、自己破産してたのかと彼女に問い詰めると、次の日には
どろん。いなくなってしまった、というのです。

ここまでの段階では、関根彰子の破産にいたる物語、くらいにしか
思っていませんでしたが、衝撃的な事実が、本間刑事の調べによって
分かっていくのです。
これが、面白かった。
いや、面白かったというと、本当はダメなのかもしれません。
何故ならこの小説に登場する、「自己破産をしたために、また家族に
自己破産者がいたために、一家に想像もつかない悲劇をもたらされ
た人たち」が、現実にいて、そして今もなお、地獄の苦汁を味わって
いる人がいるのだと思うと、面白い話、とは言えないからです。

実際、新聞をにぎわせている強盗や殺人の中で、この「借金苦」
によるものが多いことを考えると、この小説に書かれている、
犯人の壮絶な経験と回想は、形を若干変えても、今もこの瞬間に
全国のあちこで起こっていることなのだ、ということを感じざる
を得ませんでした。

だから、ミステリー小説ではなく、まるでノンフィクション小説
かのような錯覚に陥ってしまいました、読んでいて。
でも、ノンフィクションだと思っていいのかもしれません。

おおお・・・ヤミ金、怖い!!
本当にそう思いましたが、いや待てよ?ヤミ金が怖いのではなく、
そこにたどり着くことになった最初の一歩・・・「利用しやすい」
「簡単に夢が叶う」クレジットカードの仕組みと、それで日本経済
が動かされている、という事実が怖かったです。
多分、この小説を読んだ多くの人が、そう思ったでしょう。
そして多くの人は、最初に「クレジットカードは怖いかも」と
思ってから、ヤミ金が怖いと切り替わっていったかもしれません。

いきなり冒頭から「ヤミ金」を出すと、人はあまり自分のことで
はないような気がするかもしれませんが、住宅ローンや軽い気持ちの
借金が、ちょっとした考えの一歩を間違えると、また考えを間違えなく
とも健康や仕事状況が一歩変わると、こんな形に顔を変えていくのだ
と思うと、もっと怖いでしょうから、その辺がうまいなー宮部みゆきって、
と思います。


宮部さんは、人間の欲望の本質、というものを、本当に深く見て
いる作家だと痛感します。
ただ単に、怨恨を描くようなミステリーなんかじゃなく、人間の
本質、それは誰もが持っている部分であり、一つ違うだけで誰でも
がそうなりえるんだと感じさせるを描いているから、その辺にある
ホラー小説よりも怖く、そして私の好きな「余韻の残る」作品、
に仕上がるのかもしれません。

この本がここまで面白いとは思わなかったなー。
めちゃくちゃ得した気分です。

11:57comments(0)trackbacks(1)
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模倣犯
いやあ〜〜〜、長かったああああああ。
第一声は、まずそれですね(笑)
いやあ、とにかく長いっ。正直、疲れましたよ。
急いで読もうとしたから。
え?なんで急いで読もうとしたのか?
勿論、


オモシロカッタカラ、


ですよ。
この「オモシロカッタカラ」をあえて、片仮名にしてみたのは、
ピースっぽいかなあ、と思って(苦笑)
よく、恨みつらみで人を殺すんじゃなくて、いわゆる愉快犯
なんかを描いたような描写なんかに、犯人の魂の無い台詞、
人間味の無い部分を匂わせる会話なんかに、片仮名が使われて
ますが、ちょいと真似してみましたです(笑)

いやあ、長いはずですよ。これ。
だって、作者の宮部さんは、何年もかけて連載してたらしい
ですからね、この作品を。
そんな、何年もじっくりかけて書いたこの小説を、1日2日
で読めるわきゃーないんですよ。
文庫本では5巻まであって、単行本では上下巻。
単行本で読んだのですが、それぞれ700ページくらいあって、
1ページに2段になってかかれてますから、長編大作です。
(長編大作っていうと、まるで歴史・史実物っぽいですが、
これはミステリーです)

上巻の前半は、誰のものか分からない右腕や、捜索願が出されて
いる女性のポーチが、公園のゴミ箱から発見されたところから
始まります。まずこれらのシーンから、胸元をドン!!と強く
何かに押されたような重い衝撃を受けます。
そして、その家族が、「その腕はわが子のものではないか?」と
怯え、また「違うかもしれない」「いや、違った」と情緒を不安定
にさせるような展開があり、読むのを止められなくさせられてしまい
ます。
もう、古川鞠子(こうやって、登場人物の名前を書きながら、
まるで現実にこれらの事件があって、古川鞠子が存在でもして
いたかのような錯覚に陥りそうになりますが、それくらい引き込まれ
るのです)の母・真知子と有馬義男の登場する場面は、
前半で大きく引き付けられた部分ですね。真知子の心理状態が、
読み手の自分にも強い波動となって、衝撃を与えてくれます。

上巻の前半は、そうやって始まり、また様々な失踪者の物語が
描かれています。

が。
何故か2部で、栗原浩美が登場すると、自分の中で突然トーン
ダウンしました。それまでの強い引きつけからパッと手を離された
ように、色で例えれば黒から水色へと変わったくらいの穏やかな
スピードになるんですね。
まあ、それは嵐の前の静け的と言ってもいいのかもしれませんが。
個人的には、この辺で一度、だれてしまいました。
なんせ、その水色の部分が数百ページあるのですから(笑)。

そもそも宮部さんの作品の中で、この作品はとくに、情景描写
や登場人物の心理状態、心の中の思いが細かく細かく表現されて
いて、一つの会話の前に、その人物の思っていることが2ページ
にも3ページにも分析のように書かれているので、読むことに
疲れてしまったのかもしれません。
それは、ある登場人物たちの原点を描いているシーンだったので。
そのシーンに何百ページと費やされているので、きっと読むことに
疲れてしまったんですね(苦笑)。
他の宮部さんの小説では、ほどよい感じでの描写なんですが、
これは長期連載のものですから、そうなってしまったのかもしれ
ません。

下巻では、やはりカズと山荘の辺りでは、食いつくようにして読め
ましたし、”建築家”の登場もこの辺は推理物として、非常に説得力
ある推理展開として楽しめましたね。
一度あの、建築家を主人公にした、建築推理物なんか読んでみたい
です!
(これってまるで、ジェフリー・ディヴァーの筆跡鑑定人キンケード
シリーズみたいになって面白いかもと)。

しかし、宮部さんの作家としての文章力は、もう言うまでもない
のですが、この”調査力”もすごいな、と感じさせられたのが、
この建築家の登場場面と、ガミさん登場場面でしたね。
これは、彼女の労力に拍手!です。拍手


で、下巻の半ばでの模倣犯ピースの独演では、実はそんなに
楽しめなかったんですよ。

実はね、ピースの取った行動の中で、独演以外はある程度、
共感できる部分があったんです。だから驚きながら、感心しながら
また動揺しながら読めたのだと思います。
でも独演となると、リスクを犯してまでエスカレートして
自分に酔っていくピースの心理や行動が、実はあまりピンと
こなかったんですよ。だから、下巻のほうは、惹かれなかったの
かもしれません。

では、人を殺したいとか、そういう感情が共感できるのかというと
殺したいことが共感できるわけではありません。
人間には、「人の上に立ちたい」「主導権を握りたい」という
感情が存在していること、そしてそれを駆使してやりたいという
怒り・羨望・恨みなんかがあると思うのです。
それを実行に移すほどの感情があるのか、きっかけがあるのかは
別ですが。そこに共感をしたというか、そういう部分が自分にも
あることを認識させられるというわけですね。
ピースや栗原を通して、改めて認識させられたんですよ。

栗原たちの持つプライドは、実は特別なものではなく、私達の
誰でもが持つものだと思っています。
このプライドは自尊心という部類だけのものではなく、別の面である
「自己中心」「うぬぼれ」「尊大」という形になって、私達の
生活のあちこちに顔を出しています。
これらの「プライド」は、本質的に闘争的な性質を持っている
ものです。ですから、このプライドは、自分より力のある人の
存在を認めることを難しくさせます。
認めれば、自分の立場が低くされた、と感じるからです。
これらは、相手への「敵意」となって現れ、反抗・反発・すぐに
怒る、相手に合わせることなど絶対にしたくない、といった
形で現れます。
これらの性質があらわになってきた人々は、
人々が自分の考えに同意するよう願い、求め、また皆に合わせて
自分の考えを変える、といったことは念頭にありません。
そして、それがエスカレートすれば、その人の上に立とうと、
人をおとしめようとすることもあるのです。

こういった人々は、何かを所有しただけでは満足しません。
相手より多く持って初めて満足するのです。
すなわち、自分は相手よりも優れているのだ、という優越感。

これらは、ピースと栗原に投影されているのです。
自分の姿が、彼らとなって・・・。

模倣犯の犯人達は、決して特別ではないのかもしれません。
極端な言い方をすれば、条件が揃ってしまえば、誰でもピース
たちになりえるのです。
そして、誰もがまた被害者にも・・・。

しかし、この本が映画化され試写会が行われたときに、作者の
宮部さんは途中で帰ってしまったという話があります。
いやいや、それは当然であり、でも宮部さんも悪いんですよ。
何故かって?
だって、森田芳光(呼び捨て)が監督する作品だって聞いた
時点で断らなきゃ!(爆)
あんなくだらない映画ばかり作る監督も珍しい、と思っている
のですが、彼が模倣犯を映画にしたと聞いて、こちらもがっかり
でした。あ〜あ。

でも、この本自体は十分楽しめますよ。
なかなか奥の深い小説でした。
被害者や遺族の心理、小説家を目指す人々へのメッセージ、
宮部さん自身の体験と思いであろう、物書きを仕事とする
いや、仕事としようとする人の希望と不安も、メッセージとして
ちりばめられていたと思います。


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楽園
評価:
宮部 みゆき
文藝春秋
¥ 1,700
ひや〜、これは面白い小説でしたよ。
サスペンスというかミステリーですが、単行本の上下巻で
分厚いので読み終えるのに時間がかかると思ったんですけど、
あっという間に読み終えてしまいました。

そして、ホラー映画でもないのに、怖い・・・
人の、残忍すぎる業(ごう)を、吐き気がするくらいな残忍さを
(精神的な面における)、描いているからでしょうか。

この本を読みながら、昔あった実在の事件である、”コンクリート
詰め殺人事件”を思い出しましたが、あの事件の記事を初めて
読んだとき「これは人間のすることなのか?」と吐き気を覚え
たものです。
ああ、そうそう、北九州の緒方容疑者の事件の記録も、読んだ
ときに吐き気がしてきました。
また、石橋と名乗る20歳くらいの男が、借金を重ねるために、
いろんな人と養子縁組をしたり結婚をしたりして苗字を変え、
それをばらそうとした当時の偽装結婚の相手の16歳の石橋さんを
ドラム缶の中で焼いたて殺したとかいう事件もありましたが、
その殺人者の中にある冷酷さに吐き気を覚えた経験があった
ように、またこの小説に登場する人物たちの、人を人とも思って
いない悪魔のような冷酷さに、怖さを覚えました。
人を殺めるシーンが、細かく描写などされていないのにも
かかわらず、です。

冷酷さ、というのとは何か違う気もするんですが・・・
漢字で言えば「邪」という文字と「魔」という文字が
ピッタリなんですが、そんな怖さがありましたね。

このストーリーは、ある中年のおばさんが、小説【模倣犯】で
登場したフリーライター前畑滋子に、自分の、事故で無くなった12歳の息子
に、超能力があったのではないかということを調べてもらいたい、
というところから始まります。

そして、その亡くなった息子”等(ひとし)”が残した、
殺人現場を透視したあるスケッチを見て、滋子はその依頼に
真剣に取り組むようになっていきます。

そのスケッチブックには、ある少女が家の下に埋められている
絵で、それは実在の事件だったことから、その事件から追い始め
それが意外な結末へと繋がります。

その”家の下に埋められていた少女・茜”は、両親に殺された
のですが、何故殺されたのかも明らかになっていきます。


この本を読み終えて、茜と両親のことに、切ない気持ちで一杯
になってしまいました。小説なのに・・・
茜のとった行為は、自分では理解が出来ません。ですが、両親
のとった行動は理解でき、いや。自分が同じ立場だったら、そ
うしてしまうかもしれないとまで思いました。

そして、実際に茜のような”育てにくい子”は、実際に今、
増加しているのも事実です。
この小説を読んで、茜という人物を知って行く中で、彼女は
広範性発達障害や人格障害の要素があるのではとも感じました。
まあ、この場合は小説なんですけどね。
でも実際、茜の小学校時代のような経歴を持つ子は増加の一途を
たどっています。
5歳なのに、保育園の女の子と突き飛ばしたり、血が出るほど
引っかきながら部屋の隅に追い詰めて暴力を振るう男児の例の
あり、その凄み方は大人のそれと同じで、とても5歳とは思えない
というような事例があります。
(そういった子は、早く発達障害センターに相談すべきですね・・・)
こういう事実が増えてきている現代、茜は小説の中の子、だけでは
終わらせることができませんし、茜の両親のこともまた然りです。



印象に残ったのは、茜の真実だけではありません。
妹の誠子の本質は何だったのか、また息子”等”の超能力の
有無を調査依頼した母親”敏子”の背景・・・色々と気になる
人物が沢山います。

最後の謎とも呼べない謎・・・・ここはネタバレですが
(白色の反転にしますね)
等が何故、模倣犯の事件の山荘とどんぺりを描けたのか・・・
これは、最後まで書かれていませんでしたよね。
個人的に、つじつまを合わせてみたとしたら、ですが、
あの事件に等君は直接関係してなかったとしても、関係者
の誰かに接触したか、テレビ・新聞などでその事件に触れた
か、で、誰も知りえなかったドンペリの細部までもが見えた
のではないでしょうか。

海外ドラマで「デッドゾーン」というドラマがありますが、
人に触れると、その人の過去や未来が見えてしまう男の話
です。海外では、そういうドラマやシーンが多いんですが、
それを参照にすれば、そのような意見もありえるかなと思ったり。
まあ、それでも納得しない人もいるでしょうけど(笑)
もしかしたら、秋津刑事の奥さんは、もと小学校の教師
だったので、つながりがあったのか・・・
それとも犯人のシゲが、模倣犯のことを模倣したような傾向が
実はあって、それついでに等君は悟ってしまったのか・・
まあ、結局それは勝手な妄想の範囲ですけどね。



でもね、いいんです。その謎が明らかにされていなかったって。
そこはこの作品の最も重要なポイントはなかったし、
等君が死んでしまってる以上は、なかなか明らかに出来ない
でしょうね。
そして、細かく言えばその部分の謎が残っているとしても、
十分に私は満足したんです。読み終えたとき。
だって、茜の死の真実が、滋子の当初の希望通りに判明し、
また等君がそのような能力を持っていたかの有無は明らかに
なったのだから。

宮部さんは、等君が何故、そういったスケッチを描く経緯に
なったかを、メインテーマとして一つずつ描きたかったので
はなく、やっぱり茜のことを描きたかったのだと思うからです。

いやあ、素晴らしい作家に出会ったと心から思いました。
模倣犯も是非読みたいですね。
ついでに、長い長い殺人、も手にしちゃいました。

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人間の証明 (角川文庫)
何度かドラマ化されているこの作品ですが、小説として読むのは
初めてです。

この画像に出てくる「麦藁帽子」、これが事件の鍵となります。
アメリカからやってきた、ジョニー・ヘイワードという男が
ある公園で麦藁帽子を落とし、別の場所で刺殺体として発見
されるシーンから物語は始まります。

そこで、色んな人物のドラマが絡み合って、最後には一つの事件
(いや、二つの事件かな)になっていき、ジョニーが何故日本に
来て、何故殺されたのかが明らかになって行く過程で、次第に
切ない親子の物語が明らかになっていくのです。

正直、キスミーという英語は「霧積」の聞き間違いだった、とか、
八尾で人が殺された→犯人は八尾出身とか、
八尾で出会った都会に憧れる少女が、犯人の家にお手伝いとして
行く、というあたりが、こじつけもいいところなんですが、
そのこじつけがあったからこそ、あの最後のケン刑事の衝撃の
言葉にも一緒に切なさを感じるのではないかなと思います。

ベストセラーになっただけの作品とあって、無駄なシーンなく
テンポよく描かれている作品で、面白かったですよ。

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五弁の椿
高校生の頃、山本周五郎という作家の小説にすごくハマッていて、
高校生にしたら渋いもん読むな〜と親に言われたことがあります。

確か、宝塚歌劇団の月組が、剣幸(つるぎ・みゆき)の退団公演で
山本周五郎原作の「人でなし」(だったかな)と「柳橋物語」の
ストーリーをミックスさせた「川霧の橋」という作品があり、
それを、知人の誘いで見に行ったら、すっごく面白くって、是非、
原作を読んでみたいと思ったのが、山本周五郎の作品を読み始めた
きっかけでした。
(ちなみに、この「川霧の橋」では、今人気の天海祐希がまだトップ
男役ではなく3番手で、かなりの悪役をしていた作品です)。

それで、最初に読んだのが「今も昔も」で、あまりにも面白くって
次々に彼の作品を読みました。
その中で、いくつか心に残る作品があったのですが、その一つがこの
五弁の椿、だったのです。

これは昔、女優岩下志麻が演じたそうなのですが、
ある若い女が、ある事情で自分を捨てた父親に復讐するために、
いろんな人を殺めていくのですが、その犯行現場にはいつも五弁の
椿の花びらがちりばめられている、という感じの話で、刑事さん
(この当時の言葉で言えば、岡っ引きになるのでしょうか)が
彼女を追ううちに、悲しい過去を知って行く話しなんですね。

人を殺めるのはよろしくないのですが、どうもこの主人公の少女
(18歳くらいの設定だったように思います)に同情すると言うか
応援してしまいたくなるというか・・・そんな気持ちになって読んだ
記憶があります。

山本周五郎のこの作品、お勧めです。
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