出演 ジム・キャリー、ジェニファー・アニストン
日本の宗教は、ご利益主義が多いです。
その象徴が「お賽銭箱」や「お布施」ですよね。
これらの物に多くお金を入れれば入れるほど、「病」や「離別」
「家庭不和」などと言った試練から逃れられる、という考えがあります。
そして人々は「ああ、神様」「仏様」・・・「自分の夢が叶いますように」と願い、もし聞き入れられないのであれば、「神さまなんて居ないんだよ」といいます。実際、日本で「無神論者」が多いのが納得できます。
この映画の主演ジム・キャリーは、そんな典型的人間を演じています。「俺はこんなに頑張っているんだ!」「だから、(報道番組の)アンカーになりたい!」ジム・キャリー演じる主人公は、大きな希望を持っています。
ところが、アンカーの座はライバルに奪われ、彼は物事に当り散らした
せいで、散々な目に遭うのです。
「神様なんか、くそ食らえだ!」
以前TV番組で、コメディアンの明石家さんまが、何か悪い事が起こった
時に「神様なんか!」と言ったとき、司会者のタモリが
「普段、神様のことも思い出さず、感謝もしていないのに、嫌なことがあった時だけ神様のせいにしている。」と言いました。
ジム扮するブルースは、まさにそんな感じでした。
そんなある日、ブルースはあるビルで見知らぬ男に言われます。
「私は神だが、そんなにいつも文句を言うなら、私の代わりに神に
なるがいい」。
それがこの映画のタイトルの通りです。
「ブルース・オールマイティ」〜全能者 ブルース〜。
要するに「地上を治める全ての権限、権能」をブルースが持ったわけです。
最初は半信半疑だったブルースも、このことが本当であると知り、
自分の力に驚きながらも、気が大きくなっていき、したい放題になっていきます。
全て、自分の思うままです。憎い奴に復讐し、ライバルを陥れ、恋の演出をするのです。
私は小さな子供の頃、よく「神様、悪いことに使わないから、魔法が使える
ようにして下さい」と願ったものでした。「絶対に、悪いことには使いません!」と。でも、大人になるにつれ、自分の弱点を知ってからは、こう
思うようになりました。「神様、私にそんな力がなくて良かった」と。
自分にとって都合の良いことに使うに決まっているからです!(笑)
そんな私はまだ良い方なのでしょうか、映画のブルースは“全てを手に
入れた“かの如く、身勝手な自信家になって行きます。
私が、この映画をオススメしたいのが、これらの後のストーリーです。
前半は、コメディタッチで、非常に面白く出来上がっています。そして
後半は、多くの人々が持つ疑問に、答えてくれているのです。
その疑問とはこうです。
「神様がいるのなら、何故こんなに悲しい出来事が起こるのだろう」。
もし、お金を賽銭箱に入れただけで、全ての苦悩から解き放たれる
のであれば、どうなるのでしょうか。もし、神様に祈った事が全て聞き
入れられたなら、この世はどうなるのでしょうか?あなた自身は成長
するのでしょうか・・・。
この映画は、そんな疑問に答えてくれるハートフルなコメディです。
終始わがままで身勝手なブルースを変えたのは、ジェニファー扮する
恋人の、献身的なある行為でした。これは、心に来ましたね。
この映画は、私の大好きな映画の一つです。