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Music is My Life
Music is My Life (JUGEMレビュー »)
福原美穂,sleepy.ab,ローラ・イジボア
外国の声量のある歌手と間違えるほどめちゃくちゃ歌がうまい!ノレる曲ありゃ切なくさせる曲ありで充実した1枚です。自分で曲を書いてるみたいですが、邦楽ならではのダサいテンポではなく、R&Bっぽい感じ。
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火車(宮部みゆき)
評価:
宮部 みゆき
新潮社
¥ 900
(1998-01)
2008年初のUP記事は、宮部みゆきの「火車」(かしゃ)です。

最初、これを読むまでは、「かしゃ」と読むのではなく、「ひぐるま」
だと思っていました(苦笑)。自己破産をテーマにした作品だという
のは、ちょこっと知っていたので、「台所は火の車」という言葉を
連想して、そう思っていました。

宮部作品は、時代劇短編集を読んでからハマり、あれこれ揃えるよう
になりましたし、先日は、有名な超大作であるミステリーの模倣犯も
楽しませていただきました。

でも、個人的には、模倣犯より心にずっしりきた作品で、
余韻が残る作品が好きな自分としては、火車は満点、でした。

主人公である本間刑事が、妻の甥に「婚約者の彰子が失踪したので、
探して欲しい」と言われたところから始まります。
その場面に入るまで、丁度いい頃合で始まって、気持ちよく読み
始めることができました。
「妻が死んでも音沙汰の無かった、身勝手な男が、夜遅くなっても
雪が降り続けていても、1時間半もかけてやってこようとするのは
何ごとだろう?どうせ、面倒な依頼に決まっているに違いない」。
一気にひきつけられました。
人間、実際に面倒なことに遭うのは嫌ですが、他人の(ましてや
小説の)中にある面倒で疑惑のあること、には興味津々ですからね(汗)

よく営業の世界では「最初の5分の(客に対する)トークが勝負」
とは言いますが、そういう意味では、この作品も「掴みはOK」
でした。

で、本間刑事が、失踪に至るまでのいきさつを、その「甥」である
和也に尋ねて分かってくることは、和也の婚約者、「俺が選んだ
女」である美人で聡明で家の中をきちんと整えることの出来る婚約者
関根彰子が、実は過去に自己破産していた、ということが明らかに
なっていくのです。
和也としては、自己破産してたのかと彼女に問い詰めると、次の日には
どろん。いなくなってしまった、というのです。

ここまでの段階では、関根彰子の破産にいたる物語、くらいにしか
思っていませんでしたが、衝撃的な事実が、本間刑事の調べによって
分かっていくのです。
これが、面白かった。
いや、面白かったというと、本当はダメなのかもしれません。
何故ならこの小説に登場する、「自己破産をしたために、また家族に
自己破産者がいたために、一家に想像もつかない悲劇をもたらされ
た人たち」が、現実にいて、そして今もなお、地獄の苦汁を味わって
いる人がいるのだと思うと、面白い話、とは言えないからです。

実際、新聞をにぎわせている強盗や殺人の中で、この「借金苦」
によるものが多いことを考えると、この小説に書かれている、
犯人の壮絶な経験と回想は、形を若干変えても、今もこの瞬間に
全国のあちこで起こっていることなのだ、ということを感じざる
を得ませんでした。

だから、ミステリー小説ではなく、まるでノンフィクション小説
かのような錯覚に陥ってしまいました、読んでいて。
でも、ノンフィクションだと思っていいのかもしれません。

おおお・・・ヤミ金、怖い!!
本当にそう思いましたが、いや待てよ?ヤミ金が怖いのではなく、
そこにたどり着くことになった最初の一歩・・・「利用しやすい」
「簡単に夢が叶う」クレジットカードの仕組みと、それで日本経済
が動かされている、という事実が怖かったです。
多分、この小説を読んだ多くの人が、そう思ったでしょう。
そして多くの人は、最初に「クレジットカードは怖いかも」と
思ってから、ヤミ金が怖いと切り替わっていったかもしれません。

いきなり冒頭から「ヤミ金」を出すと、人はあまり自分のことで
はないような気がするかもしれませんが、住宅ローンや軽い気持ちの
借金が、ちょっとした考えの一歩を間違えると、また考えを間違えなく
とも健康や仕事状況が一歩変わると、こんな形に顔を変えていくのだ
と思うと、もっと怖いでしょうから、その辺がうまいなー宮部みゆきって、
と思います。


宮部さんは、人間の欲望の本質、というものを、本当に深く見て
いる作家だと痛感します。
ただ単に、怨恨を描くようなミステリーなんかじゃなく、人間の
本質、それは誰もが持っている部分であり、一つ違うだけで誰でも
がそうなりえるんだと感じさせるを描いているから、その辺にある
ホラー小説よりも怖く、そして私の好きな「余韻の残る」作品、
に仕上がるのかもしれません。

この本がここまで面白いとは思わなかったなー。
めちゃくちゃ得した気分です。

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