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評価:
ライアン・フィリップ,クリント・イーストウッド,ジェシー・ブラッドフォード,アダム・ビーチ,バリー・ペッパー,ジョン・ベンジャミン・ヒッキー,ポール・ウォーカー,ポール・ハギス,ウィリアムス・ブロイルズ・Jr
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ちょっと意外な観点の映画で、戦争の愚かさを、他の戦争映画
とはまた違った形で感じた映画でした。
硫黄島を攻めるために、軍事資金が必要、なんですね。
当たり前なんですけど、その資金を集める方法が、これまで
知らなかった方法なので、ちょっと意外な方向からの訴えだな
と思ったのです。
硫黄島に旗を揚げた6人の兵士のうち、生き残った3人が、英雄
として有名になります。そして、ただ英雄になっただけならまだ
しも、”英雄に仕立て上げ、それを大々的にアピールすることで
国債を国民に買わせ、軍事資金を調達する”という政府の狙いが
あったんですね。
果たして、こんな英雄に仕立て上げられて(事実は実は少し違う
ので3人は戸惑うのですが)、そんなことをして軍事資金を集め、
戦争に勝ちたいのか、という愚かさを感じました。
3人の兵士の一人であり、主役をライアン・フィリップが演じま
す。「白い嵐」のときのような弱弱しい役とはイメージが違い、
(わざと体重も増やしたのでしょうか)繊細だけども、立派な
戦場の衛生兵を演じています。
ライアン演じる”ドク”の一生(?)を描いた形で、最後はなん
だか静かな感動がこみ上げてきました。
この作品の良かったところは、日本兵を馬鹿にするようなシーン
がない、ということです。
よく「ジャップ!」と、アメリカ人は日本人をそう呼んで馬鹿に
していますが、戦争映画にはその台詞は満載なものです。でも、
この映画は、敵兵士である日本人への”同じ人間としての尊敬の
念”を表したかったからか、そういう蔑視な言動シーンは皆無だった
んですよ。そこにまた、イーストウッド監督の言いたかったことが
表現されているのではないか、と思いました。
しかし、ノルマンディ上陸を思わせるような、迫力ある戦闘シーン。
色んな意味で劣っていた日本軍は、あれだけの敵をよく長い間
退けることが出来たものだと思ってビックリしました。
ライアン・フィリップ以外は、知らない俳優ばかりでしたけど、
十分な映画ですね。その方が、事実としてよりリアルに感じるこ
とが出来るのではないでしょうか。