1984年 アメリカ
監督 ジョン・カーペンター
出演 カート・ラッセル
今ではもう、アクションやホラーと言えば、CGを用いた見せ方が
多く、それは被写体を美しく、または不気味にも見せる事が、より
いっそう可能な時代となりました。
でも、この作品にはCGは使用されておらず、特殊メイクや特殊撮影
隊の手作業による作り上げで、世にもおぞましい「寄生生物」である
物体Xと、それらの人体乗っ取りシーンを見事に演出しています。
この映画は、鬼才ジョン・カーペンターが「遊星よりの物体X」を幼少期
に見て感銘を受け、是非これをリメイクしたい、ということで、パワー
アップさせた形でのリメイクに大成功します。
舞台は、南極にあるアメリカ基地。何の基地かは忘れてしまったので
すが(汗)、そこには男数人が駐在しています。
ある日、誰も来るはずのない、一面氷と雪しかないその一帯に、ノル
ウェー隊のヘリが飛行してくるのですが、そのヘリは普通の飛行状態で
やってくるのではなく、必死で1匹のハスキー犬をヘリで追いながら、
ライフルで死に物狂いになって銃撃し追撃している、そんなところから
映画は始まります。
アメリカ隊員たちは、何が起こっているのかと基地の外へ出るのですが、
ノルウェー隊員はそんなことはお構いなく、とにかくその逃げる犬を追い
銃を撃ち続けるのです。「何がどうなってもいい!とにかく犬を殺すんだ!」。
そんな様子で犬を撃ち続けます。この犬を追いかける理由に、何があるの
でしょうか。
追われている犬は難を逃れ、アメリカ隊の基地に収容されるのですが、
そこからが物凄いことになって行きます。
どんな映画でも必ず女性が出てきて、主人公とロマンスめいたエッセンス
が入っていたりするのですが、この映画は女性は一切出演していません。
その男ばかりの、暗くて寒い、誰もいない南極の地という設定と演出が、
「寄生物体」にひたすらおびえる隊員たちの恐怖を引き立てます。
音楽も然り、ただ心臓の鼓動のような効果音だけが、薄気味悪い
メロディーと一緒に流れます。その鼓動音が、また怖さを引き立てる
のです。
人知れず、次々にアメリカ基地の隊員たちの人体を“乗っ取り”、
地球人になりすます物体X。隊員たちは、誰が正常な人間で、誰か
物体Xなのか分からなくなって、互いに疑いの目をむける隊員たち。
下の画像のシーンは、恐怖をかもし出す最高に素晴らしい演出でした!!
この映画の展開は、よくある展開とは異なって行きます。
新作を見尽くして、もう見る映画も少なくなってきた、という方、
この映画をまだ見ていなかったら、是非とも見てみてはどうでしょうか。
”古い映画だから〜”なんて侮っていたら、必ず後悔します(笑)
期待を裏切らないと思いますよ。
*乗り移られている途中の人間が、かなり不気味でした(汗)