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評価:
ジェフリー ディーヴァー
¥ 2,200
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大好きなリンカーン・ライムシリーズの最新作「12番目のカード」。
読み終えました。
同じくリンカーン・ライムシリーズの第4作目の「石の猿」は、
ジェフリー・ディーヴァー作品の中では、これはあまり・・・と
いう人の声が多かったのですが、この「12番目のカード」も
そういう声が多かったようです。
ただ、私の場合「石の猿」は、評判に反して結構楽しめたので
好きな作品なんです。でも、この「12番目〜」は、皆さんと
同じように、悪くは無いけど特別よくも無いかなと思いました。
ただし、ジェフリーの作品の中ででは、ですよ。
やっぱり彼の作品は、他の作家の作品に比べても、面白いと思う
のです。
「12番目〜」の何が、”さほど良くない”と思わせたのかと
いうと、後半ですね。
暗殺者であるトムソンとアメリア・サックス刑事が戦うところ
は非常に迫力があったし、実際そこまでは結構面白かったんです。
ところが、トムソンを雇った黒幕の登場あたりから、なんだか
少し趣向が変わってしまいました。
ちょっとこじつけたような犯行理由や、140年も前のことを
今更掘り出す理由に説得力や臨場感が無いというか。ピンと来ない
し、黒幕も突然出てきたって感じでね。あまり面白くない。
トムソンの共犯者の話は、なかなか良かったですけどね。
ジェフリーの作品の売りは、今や「どんでん返し」になっていますが、
なんだか逆に、今回の作品やこれまでの作品に登場する、アメリア
たち刑事の訓練や日常なんかのシーンの方が迫力があったり面白い
場合がありますね。
例えば、前作ライムシリーズの「魔術師」の中にある、アメリアの
昇進試験のくだり、とか迫力がありますよ。
つまり、ジェフリーは、描写が非常に上手なので、アクションシーン
になると、読者はまるでそこに居て一緒に体験するような気持ちに
なれるのです。
どんで返しもプロファイリングも、ジェフリーの得意分野でしょうが、
それらの注目度が高すぎて、彼の描写上手な部分はあまり目立ちません。
でも、よく読んでみれば、
1・アメリアが犯人を追い詰めるシーン
(例)ボーンコレクターの犯罪現場に突入するシーン
(例)コフィンダンサーで、ダンサーとの銃撃戦
ダンサーのアジトに潜入のシーン、
爆発物の取り扱いのシーン
警察を殺した地下のダンサーを血痕から追うシーン
(例)石の猿での、密入国者の上陸シーン
沈没した密入国船の海中捜索シーン
蛇頭との最後のシーン
(例)魔術師が二人の女警官から逃げるシーン
魔術師が、3人目の被害者を殺そうとして逃げるシーン
アメリアの昇進試験のシーン
魔術師とアメリアのカーチェイス
(例)12番目のカードのプラスキー巡査とトムソンのシーン
トムソンをアメリアが追い詰めるシーン
ジェニーヴァが謎の男と車で逃げるシーン
など、どんでん返しがなくとも十分楽しめると思います。
どんどん、新しいキャラクターが登場しますが、今回はトムソン
という暗殺者に狙われるジェニーヴァが、次の作品に登場しそう
ですが、私はプラスキーという新人警官にも期待したいですね。
彼は、痛い目に遭いながらきっと良い警官になっていくような
気がします。
それと、ローランド・ベルの警護は、犯人にいつも出し抜かれている
ような印象がありますね(爆)
「コフィンダンサー」でダンサーと銃撃戦をやった迫力シーン
を知らない読者がいたら、彼の存在もあまりたいしたことがなく
なっていくかもしれません。
もうちょっと、ベル刑事が犯人に出し抜かれないようなシーンを
増やして欲しいですね。あ、そうなると彼が主役になっちゃうかも?(笑)
この際、ローランドを主役にしたアクション物でも書いてみて
くださいよ!ジェフリー!