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評価:
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¥ 2,748
(2009-08-05)
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ハートフルコメディかと思って借りたのですが、コメディではなくヒューマン
ドラマでした。
ラースは、兄夫婦の住む家の敷地内にあるガレージでひっそりと過ごす
敬虔なクリスチャンである青年。
人付き合いが苦手で、誰かに何かに誘われても誘いには乗らないし、
誰かとかかわりを持つことを嫌います。
会社の新入社員であるマーゴのちょっとしたアプローチにも興味なし。
ところがそんな彼がある日、兄のガスとその妻カリンの元にやってきて
こういうのです。
「遠方からきた彼女を、泊めてあげてくれないか」
ラースにもそんな相手がいたんだ!!と大喜びする兄夫婦。
ところが、ラースが連れてやってきたのは、ネットで購入した等身大の
ダッチワイフ人形だったんです。
唖然とする夫妻をよそに、ラースは真剣にその人形に話しかけたり
服を着せたりして”彼女”との時間を楽しんでいるのです。しかも、これ
までに見たことがないくらいに幸せそうなラース。これまでに聞いたこと
もないくらい饒舌でご機嫌なラース。
夫妻は、”彼の精神はおかしくなったのか”と思いながらも、彼に合わせ
ていくことを決めるのです。
そしてビアンカと名づけられたその人形が体調が悪いのかもしれない
と嘘で誘導し、夫妻はラースを町医者に連れて行きます。
町医者の女医に、夫妻は尋ねます。「いつになったら、ラースは元の
ラースになりますか」。
すると女医は言うのです。
「ラースが、その人形を必要としなくなったとき」。
ラースには、その時期は来るのでしょうか。
なぜラースはそんな風に、人形に話しかけるようになったのでしょうか。
でも、そんな疑問をよそに、町の人々はラースを軽蔑するのではなく
ラースを受け入れ、支援するのです。
その姿がめちゃくちゃ温かい・・・泣けてきます。
ラースの心の中の孤独さ、人を信じ愛することへの拒絶・・・なんか
誰もが理解できるのではないでしょうか。
自分を絶対に裏切らず、自分だけを見つめ、自分だけを愛する象徴
だったビアンカが、街中の人の必要とされるようになり、自分の元から
離れる時間が増えたときにラースは葛藤します。
そして、そんなラースと本気で喧嘩したカリン。
「誰もあなたを気にかけてないですって!?みんなあなたを愛している
のに、なんでそんなことが言えるの!?」
あのシーンは、自分の中で印象に残っています。
ダッチワイフ人形を本物の人間のように扱う人々の姿に、何か滑稽さ
を覚え笑えるのですが、考えてみたら世の中には滑稽なもの、滑稽
な人生、滑稽な時間、滑稽な人々、滑稽な付き合いって溢れているん
ですよね。
でも、それを排除しようとしたり、軽蔑したり笑ったりすることよりも、
受け入れていく温かさ、も、この映画から学び取れたような気がします。
このDVDは欲しいですね。
寂しくなったときに、自分を力づけてくれるような気がします。