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評価:
¥ 2,530
(2010-09-10)
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この映画、賛否の「否」が多いように感じます。
きっと、映画宣伝のキャッチコピーの「この謎が解けるか」の
せいかな。
呼び込みにはいい宣伝文句ですが、見終わった後の喪失感を
大きくさせてしまうことにもなる。
映画を純粋に楽しみたい人には、このキャッチコピーは如何な
ものかと思います。
さて。
物語は、シャッターアイランドという孤島であり閉鎖された島に
ある精神病院(島にはそれしかないと思われる。小さな島です)
に、同僚チャックと赴いた連邦捜査官テディ・ダニエルズ(レオ
ナルド・デカプリアオ)が、その精神病院から抜け出したとされる
レイチェルという子殺しの患者の捜査をしに訪れるところから
始まります。
時代背景は、1950年代だったかな。
逃走しようのない閉鎖病棟なのに、レイチェルは見つからない。
誰かの助けを借りなければ、出ることも出来ないのだから
ここには何かあるのではないかと勘ぐりだすテディ。
そして捜査を進めるうちに、この病院で行われているであろう
非人道的な治療の陰謀を感知し始めるのですが・・・・
さて、ここからネタバレ。
この映画を見た人だけ、以下の文章が分かりやすいと思います。
見てない人は、本当にバラしちゃってるので読まないほうが・・・
私自身は、最初は捜査でやってきたと思っていたのですが、
やはり、テディが幻覚を見ることから、彼自身が精神病患者
ではないかと思い始めました。
そう思い出すと、
・同僚チャックが、明らかにチャックが年上に見えるのに、
テディを「ボス」と呼ぶ不自然さ
が、まず気になりました。
本当は医師であるチャックが、テディになりきっているレディス
の妄想に話を合わせ、好きなようにさせその気にならせるため
に、あえて”持ち上げる効果”として”ボス”という言い方をしたの
かなと。
そう思うと、次第に”テディの幻覚の話”としてみていくように
なりました。
でも、そのオチだけでは最近あるパターンで、何もどんでん
返しを楽しませる映画として、スコセッシ監督は製作したので
はないと思うのです。
個人的には、解釈として
・テディは、アンドリュー・レディスが作った架空の人物
・最後は正気に戻った
・シーアン医師が、わざと最後にチャックを演じてみたときに
幻覚はまたぶり返したと思わせる発言をしたアンドリュー。
「チャック、早くこの島を出ようぜ」。
それによってシーアン医師は、他の医師に横に首をふり
「彼はやはり治ってない」と知らせる
・でも実はこれは、アンドリューはわざと治ってない振りを
してロボトミー手術を受けるように仕向けたことである。
それは
「妻を殺した人殺しとして(モンスターとして)生きていくのが
いいのか、ロボトミー手術をして自分の暴力性を封じ込める
ことで、善人として生き、償うのか」
を考えた末、非人道的であるとされ、できれば医師たちも
行いたくないロボトミー手術を受けようと思ったから。
もし正気に戻ったと知れたら、ロボトミー手術は施されず、
自身も妻が子供を殺した現実、自分自身が妻を殺した現実
と一生向き合って生きていかねばならず、そうするうちにまた
幻覚が起こりうるかもしれない、それならば治ってないふり
をし、手術を受けようとした
という風に思っています。
だからこの映画、どんでん返しを楽しむ映画ではなく、最後の
台詞である「モンスターとして生きるか、善人として生きるか」
が、本当の大きなテーマだったのでは、と思うので、映画集客
のための宣伝文句が、ちょっと許せないなと思ったわけです。
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この映画、2度見る面白さはあると思いますよ。
テーマが暗いので、買ってまで見るのも悩みますが、一見の
価値アリである良質な映画だと思います。