子供の頃、母親が映画のサントラ特集のレコードを買ってきまして、
その中には当時の名作の劇中曲が収録されていたのですが、
その中に犬神家の一族がありました。
あの有名なメロディ。男の死体が逆さの状態で湖に足を出したまま
遺棄されている有名なぞっとするシーンとはマッチしないような
物悲しげなメロディが、映画の冒頭から流れています。
「あああ、これこれ・・・懐かしいメロディ」と感慨深い反面、
横溝正史のおどろおどろしさが垣間見える出だしにぞっと
します。
犬神財閥?を一代で築いた犬神左兵衛の臨終シーン。
「なんじゃ?あの眉と髭は!!」と驚きます。
そのキモイ翁が「遺言を残した」と示してから、キャスト名が
流れるのですが、その後に、犬神左兵衛の若かりし頃の白黒
というかセピア色の写真がスライドショーのように出てきます。
これがまた怖い怖い。何かゾクっとさせます。
この映画、ホラーではなくサスペンスなのですが、ホラーであった
洋画「アザーズ」にも白黒の写真で怖がらせるシーンがあり
これってやっぱ、怖がらせる材料になるんだなーと、くだらないこと
を改めて実感しました。
莫大な遺産を残した翁の遺言は、聞いている人が「えええ?!」
と思うような条件。ありゃ身内じゃなくても驚くよねっていう、
ちょっとゲーム的な感じがします。
しかも、第一相続者である珠代(条件付で、第一相続者に
なれます)の婿候補である左清(すけきよ、と読みます)というと、
気持ちが悪い白いマスクをかぶっていて、その下の顔は
戦争の被害の傷跡が生々しく不気味な化け物のよう。
そんな奴が婿候補になるとは・・・と視聴者は思ったはずでしょう。
遺産相続をめぐって次々に起こる殺人事件。
なんとなく展開は読めないわけではないですが、なんだか
気味悪さに最後まで見てしまうという意味では、名作と歌われた
理由も分かります。
キャストも文句なしです。
第一相続者の珠代を島田陽子。めっちゃかわいいです。
むか〜し、彼女の「将軍」という映画を見て、子供心に「なんて
かわいすぎる人なんだ!!」なんて思ったのですが、この映画
でも然り。
金田一探偵が宿泊する宿の女中に、若かりし頃の坂口良子も
登場。これまためちゃくちゃかわいい。島田陽子とは違った味の
かわいさです。こういう役にはもったいない。
あとは、問題の「左清」には、あおい輝彦。これ、似合ってました
ね。マスクが、じゃなくて(笑)。ある人が、左清に思いを寄せて
いたのも頷けるような青年です。それがあのマスクのキモ男
でもあるんですが(謎)。
左清の母に高峰美枝子。すごい迫力ありますね。この映画の
重要人物なのですが、見事演じきっています。
これらの人は、かなり印象的でした。
邦画って好きじゃないって毎回書いてますが、この映画は
好きでした。ゾクっとさせてくれ、ストーリーもしっかりしている
し、配役も文句なし。
DVD欲しいです。