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評価:
カム・ウソン,ソ・ジョン,ソン・イルゴン
¥ 1,578
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惜しいなー、この映画。
見せすぎは、面白さを半減するものだけど、この映画は
見せなさ過ぎ、たかもしれない。
似た映画としては、同じく韓国映画の「4人の食卓」がある
と思うけど、「4人〜」よりも見せなさ過ぎた。
出だしから、結構ショッキングで謎めいた始まりで、見るものを
ひきつけます。やっぱり、営業トークもお笑いも映画も、
”最初の5分”が勝負、なんですよ。そういう意味では、この
映画は合格だと思います。
森で目覚めた主人公カン・ミンは、森の中にある家で、血の海
になった部屋で死んでいる男と、瀕死状態の自分の婚約者の
姿を見つけてしまいます。
そして、それを覗いている男がいて、慌てて後を追うのですが、
車に激しくはねられてしまうのです。
そこから、事件の追走が始まります。
ネットでの多くの評価は「不可解すぎて意味が分からない」と
言うものでしたが、確かに不可解ですが、全く何も分からない
わけではなかったです。
DVDについている特典映像では、その謎が解き明かされている
そうですが、機会があればぜひ見たいですね。
個人的な解釈を簡単にココに書きたいと思います。
ネタバレです。
主人公カン・ミンは、子供の頃、父親の仕事の都合である地区に
転向します。そこで、いじめられっこで孤独なミン・スインという
少女と出会います。
二人は、よく遊んでいたのですが、二人で遊んでいるときに、
多分、カン・ミンの母親が、父親とは違う男と不倫をしている
現場を見てしまうことでショックを受け、記憶を無くしてしまい
また、父親とその街を離れることになります。
父親は、教師をやめ写真展を営むようになります。
(母親は男と逃げた)
母親の不倫のことを忘れて育っていったカン・ミンですが、
最愛の妻を飛行機事故で亡くします。
そして、その後、キャスターのスヨンと交際を始めますが、
カン・ミンは真剣だったのに、スヨンが、自分の嫌いな局長と
浮気をしていたわけです。
その現場を見てしまった自分は、森の家の浮気現場で二人を
殺してしまうわけです。
そして、その記憶も失ってしまった・・・。
と、こんな解釈をしています、個人的に。
【謎1・写真屋のミン・スインという女は何者か。】
ミン・スインは、子供の頃に遊んでいた少女。
でも、顔はなくなった妻ですよね。
そして、写真屋はスインの経営ではなく、カン・ミンの自分
の実家だった、というところです。
スヨンの浮気現場を見たことで、ミン・スインとの子供の
頃の過去を思い出し始めて、でも顔は亡き妻の顔とごっちゃに
なっているという精神状態と記憶状態なのではないでしょうか。
子供の頃に自分の癒しの存在であったスイン。
そして、同じく癒しの存在だった亡き妻。
二人の名前と顔が混ざった幻影を、自分の精神状態が作りだし
ていたと思われます。
【謎2・病院で同室だったおじいちゃんは誰】
あれは、カン・ミンの父親の幻像でしょう。
彼には、同室のように見えていましたが、実際には他の人には
見えていなかったと思われます。父親は、半年ほど前に亡くなって
いる設定でしたから。
あのおじいちゃんが、病室を抜け出すカン・ミンに写真屋の
鍵を渡しましたが、あれは実際には渡したのではなく、
カン・ミン自身が最初から持っていた(実家の鍵なので当然)
わけです。
でも彼は、同室のおじいちゃんから鍵をもらったと思っている。
【謎3・惨殺現場を覗き見から逃げた人物は誰?】
冒頭で、カン・ミンが自分の婚約者スヨンが瀕死状態になって
いるのを、抱き起こしているシーンがあり、そのときにトビラ
の奥から物音がして、扉を開けてみると、男が走り去りますよ
ね。そして、カン・ミンはその後を追っかける。
これは、子供時代に母親の不倫現場を見てしまって、扉から
覗き見をして逃げた自分の姿が重なってしまった幻影かも
しれません。本当は、スヨンを抱き起こしていたとき、誰も
覗いてはいなかったのです。
というか、抱き起こしたのは、後から自分が作った妄想?
もしくは、惨殺した後に気を失って、自分が殺したことも忘れて
また現場に戻って惨殺死体を見てビックリしたのか、それは
定かではありませんが・・・。
ちなみに、自分の跡をつけたり、電話をしてスヨンの浮気を
密告してきた(と自分では思っている)のも全部自分、ですね。
彼の中には分裂した人格が存在したわけです。
何かのきっかけでスヨンの浮気を知り、スヨンの浮気現場を
見たことがきっかけで、精神が分裂してしまったのかも知れ
ません。
ちなみに、不思議なのは、カン・ミンをはねたのも、カン・ミン
のようです(車が同じなので・・・)。
カン・ミンが、スヨンの浮気を密告するもの(これは結局自分
なんですが)に言われて、指示通りに森へと車を走らせますよね。
そのときに、トンネルをスピードを出して走り抜ける車の後ろ姿
と、冒頭でカン・ミンが同じトンネルで車にはねられるシーンの
車の後姿が同じです。
これは、一つの鍵、ですね。
他の鍵はというと、まずカメラのフィルム。
亡き妻を撮ったカメラが、飛行機事故後に見つかりますが、その
中のフィルムがありません。
そして、そのフィルムらしきものが、スヨンの浮気密告者によって
カン・ミンの仕事場のデスクの上に置かれています。
また、そのフィルムを、カン・ミンは、写真館で現像しますが、
そこには亡き妻が写っていますよね。
でも、刑事さんがその写真を見たときには、亡き妻だけではなく、
スヨンの浮気現場の写真も入っていました。その写真は、カン・
ミンのカメラで撮られたものです。
謎の多い不思議な映画ですが、頑張った映画じゃないか、と
個人的に評価しています。